寄生する前に予防しましょう。
「春は予防のシーズン」といわれるほど、様々な病気などに対する予防のお薬が必要となってくるため、犬猫達にも、飼い主さんにとっても忙しい時期となります。
では、ノミ・ダニに対する予防はいつから始めるのがよいかご存じでしょうか。
「ノミを見つけたら」、「体を掻いてたから」、という飼い主さんがたくさんいらっしゃいますが、予防薬という見方から考えると、ノミ・ダニがついてからではなく、つく前にお薬を投与するのが本来の目的かと思います。
犬がノミに寄生し始める季節は、夏中旬~秋にかけてが大半を占めています。これは、ノミの発生には気温13℃が必要だと言われているからだと考えられ、この同じ時期、蚊の発生も考えられます。そのことを考慮すると、フィラリア症予防とノミ・ダニ予防を同時期に始めるのが良いかと思われます。開始時期は地域にもよりますが、4〜5月が目安となっています。
アメリカ、ジョージア州にある一部の地域にて、犬を対象にノミの保有率調査が行われました。(1996年9月~2004年8月)ピーク時は夏の終わりから秋にかけてが最も多く、採取されたノミの数合計2518匹のうち、最も多く見られたノミの種類は「ネコノミ」「イヌノミ」そして「ヒトノミ」でした。(Lance A.Durden, 2005)
その他にもハンガリーにある13の動物病院にてノミの保有率調査が行われたところ(2005年12月~2006年11月)、対象になった全部の犬の内14.1%にあたる319頭の犬からノミが発見され、8月(夏の終わり)が最高で27.1%、5月(春の終わり頃)が最低の5.4%である結果がでています。(Farkas, 2009)
ドイツでも同タイプの調査が行われ、7月~10月が最も多く、11月~5月が最も低いノミの保有率だったことが立証されています。(W.Beck, 2006)
ダニは基本一年中生息していますが、季節によってピーク時があるようです。
イギリス国内にある173の動物病院での協力により(2009年3~10月)、1週間のうち、5頭の犬をランダムに選び、その犬たちにダニに寄生しているかの調査が行われました。結果、3534頭の犬のうち、少なくとも1匹のダニの発見があったのは23%(810頭)であったといいます。この症例数を時期ごとに比較したところ、最も低い0.013頭の3月に対し、最も多く発見されたのが0.096頭の6月でした。(F.D.Smith, 2011)
2016年にはイギリス国内でダニに食われた犬を対象に調査が行われました。マダニの症例数の増加は3~9月にかけて集中しており、数多く見られたのが急激に増加した6月であると報告が上がっています。(Ian Wright, 2018)
ダニの種類、国、地域によって多少の違いはありますが、春先から秋にかけて、ダニの行動が活発になり、6月あたりにピークを迎え、要注意期間であると覚えておくといいでしょう。
ノミ・ダニ予防薬のお薬はあくまで駆除・予防のお薬となっています。ノミ・ダニを退治し、そのあとの寄生を防ぐ効果がある一定続くのが通常です。愛犬が痒がっている場合などは、炎症を抑えるお薬など、別の処置をとることを忘れないようにしましょう。皮膚に赤みや湿疹がある場合は、動物病院にて獣医師の診断を受けましょう。愛犬が少しでも快適で、痒みなく過ごせるよう、ノミ・ダニのお薬を忘れずに投与することをお勧めします。